皆さんは、作品のデザインが決まれば、キットのレシピはデザイナーさんの原稿を清書するだけ、と思っていませんか?楽習フォーラムで私が手掛ける作品は、デザイナーの方がデザインしながら作った作り方手順とは別に、作りやすい順番や、お教室で指導しやすい順番などを考慮してレシピを書いています。ときには作り方さえも、もっと能率のよい方法が見つかると変更させていただくこともしばしばです。
今回の課題作品6点を、シニアの初心者にもわかるような親切な作り方にしたくて、3名のおばあちゃまに「実験台」になっていただきました。
横浜市の中心街にある「シニアホテル横浜」という有料老人ホームに入居されている、加藤さん(87歳)、江部さん(83歳)、熊切さん(75歳)の仲良し三人組です。皆さんとてもおしゃれで、合唱サークル・折り紙教室など、趣味を楽しみながら生き生きと人生を楽しんでいらっしゃいます。お針仕事や手芸はお得意なようですが、ビーズは全く初めてとのことでした。縁あって、モニターをお願いしたところ、喜んで引き受けてくださいました。
体験のゴムブレスと課題作品6点の合計7点の作品を、1回2時間で週1回ずつ合計8回の授業を行いました。1回目はまず、「ビードルワーク」のコンセプトをお話し、今回のモニター講習の役割をご説明しました。「絶対途中でやめないこと」「難しいとか、わかりづらいと思ったことを正直に指摘してくれること」「全点完成すること」これが私からのお願いでした。
最初のゴムブレスは、持って行った3色の中から各自お好みの色を選んでいただくのですが、ここで提案したのが「じゃんけん大会」。恨みっこなしで勝った人から好きな色を選ぶことにしました。ちょっとおばあちゃま達をからかいながら、冗談交じりのMCが功を奏して、子供のようにはしゃいで真剣に戦ってくださいました(笑) ゴムブレスは、30分ほどであっという間に完成。イオンパワービーズの効用にも喜んでいただき、早速身につけてくださいました。その後は課題作品6点の色選びをしました。サンプルを着用して鏡で見ていただいたり、お互いにどの色が似あうかを褒め合ったりと、和気あいあいの楽しいひと時でした。「こんな素敵な作品を自分で作れるなんて」と皆さんの夢が大きく膨らみ、次回からの授業を楽しみにしていただけるようになりました。
2回目からも順調で、同じことの繰り返しは宿題とさせていただきましたが、ケアマネージャーの佐田さんにも一緒に講習を受けていただいたので、わからないことがあってもフォローしていただけました。宿題が出たときでも次の回には全員が編んできてくださるという優等生振りには脱帽です。
最終回には、なんと最後の作品が全員仕上がった状態で授業を終えることができました。佐田さんからは、「自分では作れないと思っていたような素敵なアクセサリーを作れたことを、皆さんが心から喜んでいらっしゃいました。それに加えて、皆さんの意見が、この講座に生かされて、先生の役に立てたということが何よりうれしかったようです。」という暖かいお言葉をいただきました。本当にそうなんです。作り方だけでなく、教科書のちょっとした細かい表現方法を皆さんのアドバイスで変えたことで、とてもわかりやすいものになりました。このモニター講習で得た情報は、「ビードルワーク ディプロマ講座 水野久美子スペシャル」という発表講座の中でお伝えしていきたいと思います。教えるのが初めての方に役立つような指導テクニック満載の、いつも以上に詳しい指導マニュアル「徹底ガイド」も配布いたします。今回、教科書や指導マニュアルなどの校正をお手伝いくださった小坂あや子先生から、指導マニュアルの原稿を校正していただいた後に下記のようなメールをいただきました。
本当に驚き感動しました!作り方はもちろん、マットにビーズを置く配置図や、 [授業の進め方][作品制作のチェック]は特にです。新人講師にとっては、作り方だけではなく、生徒さんへの接し方も重要だとすごく思うので、作品制作のチェックにあることは本当に大切だと思いました。講師歴の浅い人、これからステッチを教える人たちにとって、とても勉強になると思います! |
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